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古版画に使われる主な技法 | |||||||||||||
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孔版 |
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■ポショアール |
日本語では、合羽(かっぱ)刷り。英語では、ステンシル。型紙から絵の部分を切り取り、そこに色を塗りこむという技法で、いわば型染めの応用。フランスのアールデコの時代の豪華挿画本に好んでこの技法が使われた。絵の具が直接紙にのる為、インクがつぶれず鮮やかな発色が特徴。 |
平版 |
■リトグラフ |
石版画。石を使った平版の版画。油が水をはじく習性を利用している。科学処理をして油を含む部分を作り、そこに油性インクを含ませ、他の部分のインクを布などできれいにふき取る。例えば、5色使う場合は、5版を一色(一版)づつ刷るのが特徴。 |
●クロム・リトグラフ |
従来は単色であったリトグラフを重ねて刷る事で、マチエール・深みのある色を出す技法。ヴィクトリアンの時代、単なるリトグラフから進化したこの技法が好んで絵本などの挿画に使われた。 |
凹版 |
■銅版画 |
銅製のプレートで版を作る凹版画の代表的な版画。技法にはエングレービング、ドライポイント、メゾチント、エッチング、アクアチント、ラインブロックなどがある。 |
●エングレービング |
ビュラン(彫刻刀の一種)で版に直接線を彫る技法。銅版画の技法の中でも最も古く、15世紀頃から始まって以来、ほとんど変わらずに現在まで使われている。 |
●ドライポイント |
ニードルで版に描く最も簡単な技法。 |
●メゾチント |
版の表面に細かく凹みを作っておき、スクレッパーなどで削り取ることで描いていく技法。 |
●エッチング |
防蝕液で表面に膜を作り、その上にニードルで描いた後、薬品で腐蝕させて版を作る技法。 |
●アクアチント |
松ヤニの粉末を版に乗せ熱して定着させ防腐層を作り、薬品で腐蝕させる技法。 |
●ラインブロック |
ラインブロックは写真製版を利用した腐食銅版画の一種で、次のような手順で制作する。絵柄を撮影した白黒のコントラストが明瞭なネガを用意する。亜鉛板に感光ゼラチンを塗り、ネガを通して光を当てる。黒の部分は光が遮られゼラチンが凝固しないが、白の部分は光が当たって凝固する。亜鉛板を洗浄すると、白の部分のゼラチンだけが残る。さらにアスファ粉末をふりかけると、粉末は白の部分、つまり絵柄の部分だけに付着し、過熱するとその部分は耐酸性を帯びる。亜鉛板を酸性の液で腐食すると、絵柄が浮き出てくるので、それにインクをのせて刷る。 |
凸版 |
■木版画 |
木材の板で版を作る凸版の代表的な版画技法。木版画を大きく分けると板目木版と木口木版になる。 木版画の歴史は古く、現存する最古の作例は1400年以前に刷られたと思われるキリストの磔刑像の木版画が残されている。 |
●板目木版 |
木を縦に挽いて作る版を"板目木版"という。 洋の東西を問わず材料が入手しやすく彫りやすいことから、昔から多くの版画家によって使われている。 伝統的に日本の錦絵にはサクラ、西洋ではナシの板目が用いられる。 |
●木口木版 |
木を輪切りにして作る版を"木口(こぐち)木版"という。"ウッドグレーヴィング"とも呼ばれる。 発祥は18世紀中頃、英国のトーマス・ビュイック(Thomas Bewick,1753〜1828)により始められた。版木が硬く銅版の用具に似た専用の彫刻刀(ビュラン)が必要なことから、技法的にもやや難しく、板目木版に比べるとその歴史も新しい。 小型で微細な表現が特徴。 |