ボタニカル・マガジン

 イギリスのボタニカル・アートは、1768年キャプテン・クックの探検船に、一人の植物学者(ジョセフ・バンクス)が乗船した事に一つの例を見ます。それまでの探検のみの目的ではなく、西洋にとっての前人未開の地(オーストラリアや南太平洋)に生息している植物を記録に残す事がその目的でした。

 ウィリアム・カーティスは、1746年、イングランド・ハンプシャーに生まれ、そこで薬剤師の見習いになりました。彼はロンドンの明るい光を求めて故郷を去り、ロンドンで薬剤師の仕事を始め、成功します。その後、彼は自分の時間を植物の研究と採集に費やすようなりました。
 ボタニカル・マガジンは、1787年カーティスによって創刊されました。「野外・温室・暖房温室で栽培された海外の鑑賞植物」の色刷り版画と、栽培に関する知識が載っていました。海外の熱帯植物を初め、イギリスのあちこちにある、かわいい野生の植物もいくつか拾い上げました。創刊号には3枚のイラストがのり、1シリングでした。一枚追加すると特別号となり、価格も高くなりました。このボタニカル・マガジンは芸術的にも高く評価され160年の歴史を誇り、現在も英国王立庭園であるキュー・ガーデンより出版されています。

1. 手法としては 、銅版画(エングレーヴィング)・手彩色。絵の具の耐久年齢としては120年と思われますが、本の状態(重なった状態)で長く保存されていた為に、色彩はほぼ当時のまま残っています。
2. 紙には、刷年号入の透かしが有ります。また、その植物に付随する説明文がラテン語と英語で書いてあります。
3. 現在の海外では果物・熱帯植物の人気が高く、価格に反映していますが、日本では花が好まれているようです。
4. 図柄には、植物学的な図解を示しているものも多いです。




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